聖山 – NARA TEIBAN

聖山

奈良県吉野地方は昔から林業が盛んで、樽屋や製材所が集まり、地域の産業として今日まで続いてきました。山から切り出された木は主に建築材として吉野で加工され、全国に出荷されてきました。しかし時代と共に多様化してきた住宅ニーズや輸入材との厳しい価格競争の中、今までは和室材に特化した吉野の製材所の多くが新たな方向性を見い出せておらず、林業の維持も年々、困難になりつつあるのが現状です。そんな中、製材所にとっての基本とも言える「一枚の板」から考え直そうと立ち上げたのが“HIJIRIYAMA / 聖山”です。

2011年から奈良ブランド事業への参加がきっかけになり「聖山」を育て始めました。そして製材所にとっては普段、何でもない「一枚の板」から折敷が生まれ、自分の原点の価値に気付けました。次第に、材料屋から一歩進んで、自分なりの木のとらえ方で家具や空間全体まで表現したいと思うようになりました。工場の2階には、昭和30年頃、当時従業員が住み込みで使っていた部屋があって、今はその部屋を改装しながら、断片的なぼやっとした世界観がカタチになって合わさっていくたびに、創造力が高まっていくことにやりがいを感じています。
イメージしている世界観をカタチに出来る度に、仕事に充実感を見いだせる事が素晴らしいと感じています。聖山はこの感覚を分かち合いたいと願っています。人々が活き活きと仕事ができる空間作りを考え、取り組みたいと思っています。