team T
― 煎茶が教えてくれる、静かな歓び ―
感じる
「ふつうの人は茶を飲むものと心得て居るが、あれは間違いだ。舌頭へぽたりと載せて、清いものが四方へ散れば咽頭へ下るべき液は殆どない。只馥郁(ふくいく:良い香りが漂っている様)たる匂いが食道から胃のなかへ沁み渡るのみである・・・」と夏目漱石『草枕』に記されたこの一節のように、
煎茶とは味ではなく、香りと余韻を“感じる”もの。
私たちはこの言葉に導かれ、
日々の暮らしの中で見過ごされがちな“香りの時間”を大切にしています。
学ぶ
奈良の山間で茶を育てながら、
私たちは日本人が培ってきた「煎茶の文化」を改めて見つめ直しています。
江戸後期、文人や芸術家が愛したのは、
精神を鎮め、心を澄ませる“煎茶の時間”でした。
一服の茶に、心の秩序を見出す――
その美意識こそ、私たちが受け継ぎたい文化です。
試みる
現代では、ペットボトルの手軽さが主流になりました。
しかし、私たちは問います。
「お茶を飲む」とは、何を味わうことなのか。
お湯を注ぎ、香りが立ちのぼる瞬間、
心が少しだけ静かになる。
そんな時間を取り戻すことが、
いまの時代に必要な“愉しみ”なのではないでしょうか。
分かち合う
team Tの活動は、煎茶の奥深さを一人でも多くの人と分かち合うこと。
気分を整えたいとき、特別な人と語らうとき、
一服の煎茶が、心の距離を近づけてくれます。
香りを味わい、時間を愉しむ。
そのひとときが、私たちの文化の記憶を未来へとつなげていく。
奈良県の緑茶生産量は全国第6位です。良質な茶の栽培には冷涼な気候が適しているとされ、大和高原はその条件に合っているので茶の栽培が奨励されてきました。2009年8月、県庁職員の発案によって県庁屋上の展望室で産声を上げた「空中大和茶カフェ」という取組みがあります。この取組みは、茶農家と様々な部局からの県庁職員の自発的な参加によって成り立っています。茶農家の皆さんの内面からにじみ出るお茶への愛情を感じ取って頂けることで、急須で淹れるお茶の愉しみが広がっていくことを期待しての活動です。
お茶を始めたころ(農業をはじめたころ)、先輩が「毎年、毎年、一年生や」と言っていました。
その時はなんのことかピンとこなかったのですが、二十年以上たった今、ようやくその先輩の言葉の意味を実感してきたように思います。
今年採れたお茶はその1回しか採れない今年の味です。毎年、同じ様に出来ていても、その年の気候や肥料によって、新たな対応をしなければなりません。工業製品の様には出来ないのがお茶であり農業であると思います。一方でお茶という飲み物は、コーヒーが会話を活発にするとしたら、お茶はじっくりと心を通わせるための飲み物かもしれません。そんなお茶の効用を暮らしの中で活かしていただきたいと願っています。
