yahae
すべては、小さな「好き」からはじまりました。
触れたときのやわらかさ。
糸が呼吸するような手ざわり。
新聞も届いていない朝早くの静寂に奏でられる編み機の機械音。
その一つひとつに、理由もなく惹かれていく。
この“ささやかな衝動”こそが、
yahae の最初の源でした。
奈良・広陵町で百年続く靴下づくりの家業に育ちながら、
私たちは決して「家業だから」という義務感で歩んできたわけではありません。
むしろ、義務だけではものづくりは面白くならず、
魂が宿る靴下には決して育たないことを、
私たちは経験から知っています。
??好きだから続けられる。
その“思い込みにも似た確信”こそが、
日々の選択を支える静かな土台になっています。
そしてTEIBANとの出会いは、改めて問いを運んできます。
??自分は、何が好きなのか。
??その“好き”は、周りに波及し、どんな世界を作っていくのか。
この問いに向き合うことが、ブランドの出発点でした。
素材の素朴な息づかいに耳を傾けることが好き。
オーガニックコットンの生成に宿る穏やかな大地の色が好き。
藍や植物がもたらす深い陰影が好き。
靴下が人の心にそっと寄り添う、その控えめな佇まいが好き。
“好き”を辿っていくうちに、
私たちは気づきました。
好きはやがて、選び方になり、基準になります。
そして基準は、美意識となり、
やがてブランドの姿勢へと変わっていく。
迷い、戻り、また考え、
素材や技術と向き合い続ける時間のなかで、
私たちは「技・素材・デザイン・想い」が響き合う一点を探し続けました。
そうして編み上がった靴下には、
たくさんの“好き”が宿っています。
ブランドとは、“好き”が姿を持ちはじめるまでの軌跡のようです。
好きから始まり、問い続け、
選び続け、やがて世界観が生まれる。
その静かな生成のプロセスは、
ものづくりの哲学であると同時に、
未来のつくり手たちへの確かな手がかりになるはずです。
奈良の地で、下請けから自らのブランドへ。
小さな「好き」が道をひらいた、その確かな歩みを
ここにそっと記します。
