Mafu A Mano – NARA TEIBAN

Mafu A Mano

Mafu a Mano

― 手から生まれる、麻のあたらしい日常 ―


Ⅰ. まっすぐな“ワクワク”からはじまるものづくり

Mafu a Mano(マフアマノ)は、奈良晒の織元である岡井麻布商店から生まれたブランドです。
「手の仕事を、もっと日常へ」という想いのもと、手織りの麻生地を通して、心地よさや美しさを暮らしに溶け込ませることを目指しています。

私たちの原点は、“ワクワク”という小さな衝動でした。
手織りの麻がもつ生成(きなり)の表情や、自然素材ならではの奥深さに触れたときの感動――
そのとき生まれる「これは面白い」「もっとやってみたい」という気持ちが、
新しいものづくりの種になってきました。

その思いから、手織麻生地を身近にするための形を模索し、
現代のライフスタイルに寄り添う形を生み出してきました。
“伝統だから”ではなく、“心が動いたから”――
その純粋な感情こそ、Mafu a Manoの原動力です。


Ⅱ. 手で織ることは、考えること

私たちにとって手で織るという行為は、単なる技術ではありません。
それは日々の中で、自分と向き合うための時間です。

一本の糸を張り、指先で確かめながら織り重ねていく。
その静かなリズムのなかに、ものづくりの本質――
“目に見えないものを丁寧に感じ取る”という行為が宿っています。

Mafu a Manoの製品は、効率よりも誠実さを、量よりも時間の深さを選びます。
伝統を「守る」のではなく、「生かし続ける」。
過去を模倣するのではなく、今という時代の感性の中で再び“息づく形”へと織り直す。
それが、私たちの考える「続く伝統」です。


Ⅲ. 変化を受け入れる、美のあり方

麻を織るとき、光や風、湿度といった自然の変化が常に寄り添います。
同じ条件で織っても、まったく同じ表情にはなりません。
けれど、その“ゆらぎ”こそが、手の仕事の美しさです。

手で織られた奈良晒の麻は、光を含み、風を通し、使うほどに表情を変えていきます。
その変化は、人の暮らしと呼応しながら、美しさを深めていく時間の痕跡。
Mafu a Manoが大切にしているのは、そうした「移ろいの美」――
完璧さではなく、日々の中で育まれる“余白の美しさ”です。


Ⅳ. “チャレンジ”という、手の哲学

ものづくりは挑戦の連続です。
うまくいかない日も、思いがけない発見の日も、
そのすべてが手の感覚を育てていきます。

私たちが新しい想いに向き合うのは、変化を恐れないためではなく、
変化の中に「つづく想い」を見出すためです。

Mafu a Manoの“チャレンジ”は、ただの冒険ではありません。
それは、自分たちの中にある問いをひとつずつ確かめながら、
「なぜ織るのか」「なぜ麻なのか」を何度も編み直していく行為です。


Ⅴ. 手でつくり、心で伝える

機を織る音、糸を触る感覚、光に透ける瞬間。
そうした日々の体験が、私たちにとっての哲学の種であり、
ファンの方々と共有したい「ものづくりの物語」です。

私たちが見せたいのは、完成された製品ではなく、
そこに至るまでの“考えの軌跡”。
「ワクワク」からはじまり、「問い」「迷い」「選び抜く」――
その往復の時間こそが、Mafu a Manoのブランドを形づけてきました。

ものをつくるとは、自分をつくること。
手を動かしながら、自分の中にある“静かな確信”を見つけていくこと。
その歩みを丁寧に伝えることが、
未来の誰かが自分の“ワクワク”を信じて歩き出す、
ささやかなきっかけになればと願っています。

 

 

「麻」の種類として、亜麻/ linen 、大麻/ hemp 、苧麻/ ramieがありますが、このうち、日本で古来から自生・栽培・製織してきたのは大麻と苧麻でした。
例えば、正倉院宝物の中にも、衣装や包布、地図の生地など、様々な用途や形態の麻布が遺されています。その数は、絹に次いで多いようです。江戸時代、徳川家康の保護統制策のもと幕府御用品と認められたことによって、奈良晒の名声は全国的なものとなり、「染めて色よく着て身にまとわず汗をはじく」と讃えられました。現在も奈良晒の伝統技術を継承し、発展させ、時代の要請に応えて新しい価値を織りだしている工房が、1863年創業の岡井麻布商店です。

奈良晒(ならさらし)は、古くから奈良を中心に生産されてきた上質の麻織物です。創業以来、今日までずっとこの地で、手紡ぎの糸を使ってトントンと手織りの麻布を生産してきた機織(はたおり)の家に産まれ育ち、家業を継いできました。
伝統的な製品としては、茶巾や帯、法衣などに用いられてきましたが、手織りの麻布を身近に使ってもらえたらと思い、奈良晒の良さが生かせる「手織りの麻のハンカチ」に仕上げました。奈良晒は、水分を吸収しやすく乾きも早く、また丈夫ですので、ふだんの暮らしの中でも十分その真価が発揮できるものと期待しております。

伝統工芸士 岡井大輔