管城 – NARA TEIBAN

管城

日本の筆の歴史は奈良から始まります。その後、奈良筆と筆製造の技術は、日本各地へと伝わっていきました。奈良筆には羊・馬・鹿・狸・兎など、多くの動物の毛が用いられます。さらに毛を採る季節や産地、手足や腹といった部位など、それらの毛を多い時には十数種類以上組み合わせて、理想の筆に近づけていきます。その沢山の工程を鈴木一朗さんは、一人で行います。その方が筆に生命を込められるからだと言います。

何をするにしても、全ては書くことから始まると思います。文字はその人自身を表わすと言いますが、その人の性格や人柄が出ていればいいのです。だからこそ、書きたい書や自分の手に合った筆を選んで下さい。全工程を分業ではなく1人で行いますが、それは、「最高の日用品」として使い込んでもらい、使えば使うほど、愛着を感じる道具として使って頂きたいという想いで作っているからです。
また紅筆は、工芸展に参加した女性スタッフへの贈り物用として作ったのがきっかけですが、口紅含みの良い非常に細い筆先は、しなり具合も良く美しい輪郭を描きます。